登山口にあるスキーハウス「麓」。この小屋の娘千春は、一級の免状を貰ったら冬山の指導員になるつもりだ。粕谷五郎は、学生時代にオリンピックに出場したことのあるスキーの名手だったが、フィアンセの千代子を雪崩で失って以来、山の遭難防止に挺身している。一人で山小屋生活を送っている熱血の山男だ。スキーハウスの片隅で何かコソコソ相談しているのは、菅野・大平・峰山の三人。五郎が山を降りて来たのを知ると、連れの女昭子にめくばせし、××越えツァーのガイドを頼んだ。五郎は彼らのような軽装では無理だと断わりながらも、昭子が千代子に瓜二つなのを見て呆然とした。翌朝、千春が目をさました時、側に寝ていたはずの昭子の姿が見当らなかった。五郎は一人で出発しては危険があると思い、伝書鳩を飛ばして町と連絡を取ろうとした。と、菅野らが鳩を奪いとり、山を越そうと先を急ぐのだ。五郎は昭子を探し出すため滑降していった。崖下で倒れている凍死寸前の昭子を発見した。意識の回復した昭子から、三人は宝石強盗団であり、自分は逃避行の道連れにされたのだと聞いた。五郎は千春の身を案じて、山小屋にひき帰した。彼らは五郎に拳銃をつきつけ、××越えに出発した。途中、足をすべらし倒れかかった大平におどりかかった菅野は、大平から宝石を奪うとクレバスの底に彼を突き落した。夜が明け始める頃、一行は××まで五キロと書いてある道標にまでたどり着いた。道案内もこれまでと、菅野と峰山は五郎に拳銃をつきつけたが、昭子が身をおどらせた。菅野と峰山は断崖に墜落した。千春の急報で駈けつけた捜索隊によって、重傷を負った二人は逮捕された。五郎と千春は昭子を連れて山頂に登り、朝日が昇った山々に向って、“ヤッホーッ”と無事を喜び合った。
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