ヒロイン(こなつ)は三年越しの恋人(福島拓哉)との結婚を数週間後に控えているが、今のまま結婚していいのかという曖昧な不安を胸に抱いている。区役所に婚姻届けをもらいにいったとき、入れ替わりに、離婚届をとりにきた男がいた。その様子からもさらに不安がつのる。友人(藍山みなみ)にささやかなお祝いのディナーに招待された彼女は、その小さなレストランのオーナーシェフが、例の離婚届をとりにきた男(石川欣)であることに気が付く。その後ひとりでまたレストランを訪ねた彼女は、そこで衝動的に彼に抱かれる。一方で、男は家庭に不和を抱えている。親友(佐野和宏)から奪った妻(林由美香)との仲は冷え冷えとしており、彼女はうわべだけを取り繕おうとしている夫に不満を感じている。そんなこんなで、主人公と男はずるずると関係を続けることになり、そのうちに主人公の婚約者にその関係を知られてしまう。彼女は彼に結婚をやめたいと申し出た。 マリッジブルーに陥った若い娘が衝動的にとった行動が原因でほうぼうにものすごい迷惑がかかるという話。なのだけど、西田直子さんなので、その衝動的で身勝手な女の子の気持ちが大変細やかに描かれている。不倫相手となってしまう男も、演じている石川欣の存在感故かもしれないけど、なかなかに魅力的。彼の妻である林由美香のキャラクターもわかりやすい。 ただし物語自体はあまり面白くない。激しく起伏しているはずのドラマを淡々と描写するのは、西田直子氏ならではなのか、女池監督が意図してやっていることなのかはわからないのだけど、たとえば「多淫OL」はその淡々とした中にドラマティックさを私は感じたし、正直好きになれなかった「スワッピングナイト」だって、異様な緊迫感はあった。でも、この映画では「ふーん、で?」という感想しか抱けなかった。 途中まで見ているうちに、私はこの映画を、「惑いながら立ちすくむ男たちと、惑いながらも遮二無二行動してゆく女たちの話」なのかな、と思った。男たちは女たちの存在に巻き込まれてばっかりだし、女たちは後先考えずに行動して、痛い目にも遭うけども、それなりに逞しくてしたたかだ。ところが、ラストでヒロインが結局不倫相手と一緒になってしまうという展開になってしまうもんだから、一体これはどうしたこと?と思ってしまった。こういう時は、彼女は最終的に誰とも一緒にならない、というのが定石じゃないかしらん。不倫相手は、彼女が新たな一歩を踏み出すために必要だった踏み台に過ぎないはずだ。敢えて定石からはずれたかったのか、それともピンク映画だからとりあえず誰かとくっつけとかなきゃいけなかったのか、それともあのラストシーンで、どこにも行き場を無くした二人の絶望的な道行きを暗示したかったのか。うーむ。ワカラン。せめてオチに納得できていれば、私の評価はもうちょっと高かったかもしれません。(2004.11.23. 上野オークラ)
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