夫を亡くし、義父と関係を持つようになった悦子(浅丘ルリ子)は、ある日使用人の三郎(石立鉄男)の粗野で若々しい肉体に惹かれるようになる。しかし、彼は女中の美代に自分の子を孕ませており、それに悦子は激しい嫉妬を覚え、ついには…。 三島由紀夫の同名小説を原作に、蔵原惟繕監督が愛にさすらう女性の絶望的なまでの顛末を、モノクロームの斬新な映像センスで描きあげた文芸映画の秀作。蔵原監督の代表作『執炎』で演技派スターとして開眼した浅丘ルリ子が、それ以上に激しくももろい複雑な女性心理とそのエゴを、凛とした佇まいの中、壮絶なまでに体現している。蔵原監督最後の日活映画でもあり、この後彼はフリーとなり、大自然を舞台にした超大作を多く手がけるようになった。
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