アツカマ氏とオヤカマ氏

ハヤシスクーター東京支店の大宅販売課長は、課員たちから「オヤカマ氏」と呼ばれるほどの厳格な人物である。ある日、この販売課に本社からセールス志望で転勤してきた渥美鎌太郎という奇妙な人物がやって来た。やがて彼は「アツカマ氏」と呼ばれるようになった。 折り目正しく迎えた販売突撃週間では、アツカマ氏の戦術が非常に効果的で、彼だけの成績が上昇した。先輩のウラガナ氏らは予定していた売れ筋を横取りされ、ハンサム氏は恋人のサガ子嬢との関係に波紋を生じさせてしまった。さらにアツカマ氏は、オヤカマ課長の愛娘ヤヤ子とも深い関わりを持ち始め、父親を焦らせている。 しかし、アツカマ氏の活躍にも関わらず、支店全体の成績は芳しくなかった。支店長から成績不良社員のクビ切りを命じられた部下思いのオヤカマ氏は進退窮まった。これを知ったアツカマ氏は、自分の成績を密かにウラガナ氏に譲り、クビから救おうとしたが、ウラガナ氏はそれを誤解して……